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ヘンチキ、ペンフォールズ、ミッチェルトンで醸造を経験してきた、オーストラリア生まれの女性醸造家ネリダ・アボット、その夫で同じく醸造家のスネッド、ロンドンのインポーター出身のアンダーソン、この3人でワイナリーが運営されています。
「シラーを追求したい」という欲求の末にラングドックに行き着いたこともあり、シラーをよりよく表現するためのテロワール、といったスタンスが貫かれています。アボッツのワインは、フラッグ・シップの「キュミュロ・ナンビュス」をはじめとして、シラー100%のヴァラエタル・ワインが多くなっていますが、このカリデュスに関しては、シラー40%、グルナッシュ40%、カリニャン15%、ムールヴェードル5%というブレンド・ワインとなっています。アボッツといえば熟成にアメリカンオークを使用している印象がありますが、カリデュスについてはフレンチオークの1年樽で18ヶ月の熟成となっています。
スパイスやハーブが混ざった心地よい香りが漂い、葡萄の純度の高さとたおやかさが伝わります。スタイル的にはハイトーンな酸味の衣を纏った清楚な表情が印象的で、凝縮した果実力との融合が時間とともに進んでいきます。想像していた以上に繊細なスタイルで、北部のワインにみられるような背筋の張りや品位も感じます。
綺麗にまとまった良質なワインとなっており、素直に楽しめる美味しさも兼ね備えています。しかし、絶対価格がやや高い傾向にあるので、端的に味そのものだけを見た場合のコストパフォーマンスにはやや難があるかもしれません。なので、葡萄力やテロワール、そしてネリダ・アボットの想いを受け取り、そこにある真実に向き合うよう心掛ければ、価格に見合うだけのポテンシャルを引き出せると思います。
(2005/05)