- Very Good Quality -
完全主義者の造り手「カパンネッレ」は、1972年にラッファエレ・ロセッティがガイオーレ・イン・キャンティで農家を購入したことから始まり、3年後となる1975年にはファースト・ヴィンテージを世に送り出しました。造り手と同じ名称が付けられ、まさに同社のフラッグシップともいえる「カパンネッレ」は、サンジョヴェーゼ100%で造られるVDTとなっています。
1997年はロセッティが引退した年であり(子どもに恵まれなかったためにジェームズ・シャーウッドに売却)、トスカーナでのグレート・ヴィンテージとしても記憶に新しいので、まさに記念碑的な年だと言えます。
まさに「ザ・サンジョヴェーゼ・ワイン」とでも言うべき内容で、抜栓直後からハイトーンで張りのある酸味が伸びてきます。時間を与えることで小梅的な甘みがじわじわと沸き出し、徐々に飲み手との距離感が縮まっていきます。
翌日に持ち越すと、酸味と小梅的甘みが同一範囲内におさまって一体感が増す傾向にあります。近代美術館のような整然とした雰囲気と適度な密度感が心地よく、潜在的なポテンシャルをまだ秘めていることも伝わってきますが、決して「わかりやすく誰が飲んでも美味しい」というスタイルではなく、あくまでも「アイデンティティが際立つ興味深いワイン」といったスタイルなので注意が必要です。
市場価格がやや高価な価格帯にあるという問題もあるので、嗜好に合わないと評価がガクっと落ちてしまいそうな予感もありますが、資質としては十分評価できるものを持っているので、とにかく焦らずにじっくり向き合うことをお勧めします。
(2005/10)