- Good Quality -
短期間で一気にカンパニア、いやイタリアをも代表する地位にまで上り詰めたのが、アーティスティックなラベルでお馴染みの「モンテヴェトラーノ」です。基本セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ-30%、アリアニコ10%で、国際品種がベースが基本なっているものの、思いのほかアリアニコが良いアクセントになっていると言えます。
セパージュはまったく異なるものの、不思議な程にコーレと同質のエレガントな資質がマッタリと、そしてゆるやかに広がります。程々の熟成感があることや、体躯のボリューム感の違い等がコーレとの差として感じますが、それでも思った以上に表情そのものの解像度がやや低めな印象でもあります。ヴィンテージの影響もあるのか、相対的に酸が強めな傾向にあり、果実本来の甘味や充実感は酸やタンニンの層に覆われているので、全体的に若干つかみ所がないようにも感じられます。時間とともにドライなタンニンが表に出始めますが、それでも迫力や構造の骨格感が特に感じられないので、意外と素直にスルスル飲めてしまいます。
世界観そのものはいたって良質で、なおかつ十分楽しめる内容に仕上がっていますが、決して安くはない価格帯であることや、本来のモンテヴェトラーノが持つ訴求力には達していない事などを考慮すると、コーレとの歴然とした価格差を許容するのは少し難しいかもしれません。もしかするとやや弱めのボトルに当たった可能性もあるので判断が難しいところではありますが、それでも良きワインであることに違いはないので、継続してまた新たなヴィンテージを試してみたいところではあります。
(2014/03)