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抜栓直後は、密度不足や根本的なエネルギー感の欠如、そして癖のある独特の風味などからあまり良い印象は受けませんでしたが(あくまでもクラス相応のよくあるレベル)、ものの30分程度で開き始め、みるみるうちに質実さを感じる良質な表情が構築されていきます。
ベースに豊かなタンニンからくる程よい堅牢感があり、その上に落ち着いた柔らかさのある資質が均一に重なり広がります。時間が経てば魅力ある果実味も顔を出し、質実さも徐々に増す傾向にあります。全体を通じて「いたって真面目に造られた良きボルドーワイン」といった印象で、安易な時代の流れに巻き込まれてしまわないような、地に足がついた造りなのが結果的に好印象を招きますが、派手さのあるインパクト系ではないので、普段から「わかりやすい濃厚果実系」のワインを好んで飲んでいる人にとっては、ややストライクゾーンから外れる可能性もあります。
決して群を抜くようなクオリティやポテンシャルを誇る系譜ではありませんが、僅か1.5k円レンジのボルドーでここまでキッチリ造り上げてくれていることを考慮すると、純粋なコストパフォーマンスは素直に評価できると思います。日々の食卓を飾るワインとしては十二分に役割を果たしてくれるので、懐に優しい非常に有り難いアイテムだと言えます。
(2008/04)