- Good Quality -
シャトー・ル・ピュイが新たに取得した区画の葡萄で造るもうひとつのワインがこの「デュック・デ・ノーヴ」です。セパージュはメルロー70%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、カベルネ・フラン10%。ビオディナミで栽培されますが、まだ葡萄の樹齢が低いため、ル・ピュイではなく別アイテムとして仕上げられているようです。
全体を通じて独特かつ他にはない個性を持った世界観となっています。芳香性が強く、ピュアでキュートな果実味とそれに寄り添う酸、そしてフィニッシュにかけての収斂性があり、この価格帯に準じた気軽に飲めるボルドーワインらしい基本姿勢を備えていますが、葡萄そのものには質実さや実直さが感じられます。どことなく、良質な葡萄を用いた工業生産ワインといった印象でもあり、ボルドーらしさ、ボジョレーらしさ、そして自然な造りのワインらしさなど、多様な指向性をバランスよくパッケージングしたかのような雰囲気ですらあります。
ニューワールドに対抗する伝統産地ボルドーとして、新たな解とも言える世界観にはなかなか興味深いものがあるので、まずは前向きに捉えつつ、今後のより大きな発展に期待したいところです。
(2013/11)