- Good Quality -
セパージュはグルナッシュ60%、シラー20%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%。滑らかな酒質に微細なタンニンを内包し、南仏らしい充足感と程よく野生的でスパイシーな表情を兼ね備えていますが、残念ながら状態が還元的で、抜栓直後からオフフレーバーが広がる傾向にあります。決して異臭が全体を支配するという程ではないものの、それでもベースとしての良さがたった一欠片の要素で台無しになってしまっているのも事実で、この一点が唯一にして最大の問題点と言えるかもしれません。
相対的にそこまで酷くはないものの、それでも奥野田ワイナリーが抱える問題と同系統とも言える、明確な硫黄系のニュアンスが問題点になっているので、この欠陥要素をクリアしない限り本質的な良さは飲み手に伝わらない傾向にあります。とはいえ抜栓後3〜4日経過すれば、不快なニュアンスはかなり減衰する傾向にあったので、硫黄系の要素に耐性が強い人であれば、サーヴを工夫することである程度楽しむことは可能かもしれません。
(2023/04)