- Recommended -
最初の一口から明確に「旨い」と思わせるだけの魅力を遺憾なく発揮してくれます。抜栓直後からいきなり全開だったのでやや驚きましたが、こういったインパクトある表情も魅力のひとつなのかもしれません。
やや高めのアルコールに(14.5%)、仄かに過熟領域に足を踏み入れた完熟果実の甘味と凝縮感、そしてタウラージらしいガッシリした体格が生み出す堅牢感、これらが一体となり、分かりやすい魅力を生み出しています。しっかりした造りではあるものの、迫力あるような類いではなく、一時代の流れを感じさせる適度な風化感があり、身の詰まりは豊かではあるものの、決して純粋なパワー系というわけではなく、適度な熟成によってそこはかとなく落ち着いた様相を見せてくれます。
抜栓日は、過熟系の風味によって若干エッジに綻びや弛みの傾向が見られましたが(エッジは既に柔らかいオレンジ色)、不思議なことに、翌日になるとこの不安要素は完全に消え去っていました。どの時点であれ、最初の一歩で十分満足できるだけの世界観と美点を披露してくれるので、ある意味「それ以上深く踏み込ませない佇まい」があるとも言えます。しかし、基本的にワインそのものの造りを楽しむような系統ではなく、あくまでも「素直にこのワインの持つ美味しさを楽しむ(純粋に味覚で楽しむ)」といったスタイルなので、あまり深く考える必要はないのかもしれません。
ワイナートの評価はかなり高いものになっていますが、正直なところ、コメントを読む限り同じワインとは思えないほど印象が異なるので(なぜかラベルも違う…)、思いのほかボトル差があるのか、それとも保管状況などの外的要因を大きく受ける傾向にあるのか、詳細は不明ながらも、ある程度の不安要素があることを理解しておき、過度の期待は抱かない方が無難だと思います(とはいえ美味しいワインなのは確かです)。
(2008/05)