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- Good Quality -

2003 Orcia Petrucci
Podere Forte

Orcia Petrucci

オルチャ」は2000年に誕生した新しいDOCで、この「ペトルッチ」も2000年がファースト・ヴィンテージとなっています。セパージュは有機栽培のサンジョヴェーゼ100%。ステンレスタンクで7~10日アルコール発酵後、バリックで16ヶ月熟成、ノンフィルターで瓶詰めし3~6ヶ月熟成させて出荷されます。

生産本数が2,000本しかなく、日本の入荷数も僅か96本となっているので、残念ながら現状では極一部の限られた人向けとなっています。葡萄作付け面積が拡張され、安定供給とともに価格が下がるのを暫く待ちたいところですが、完全な有機栽培という側面を考えると、あまり多くは望めないかもしれません(所有地そのものは110ha)。

残念ながら今回の1本は「まさに吹く寸前」といった状態で、流通過程のどこかで何らかの問題に遭遇した可能性があります。幸いなことに思った程の悪影響はみられず、多少質感に鈍さや儚さが見られることや、若干のちぐはぐさ、そして経年以上の熟成感など、その影響は概ね予想できる範囲にとどまっていました。とはいえ、ただですら希少な存在なのに、それを不要な人為的影響で悪化させてしまうというのは著しく悲しい状況なので、流通に関わる関係者には、もっと徹底した管理を行って欲しいところです。

気になる中身の方ですが、全体を通じて「暑かった年」というのがストレートに伝わる過熟系果実味が印象的で、高い骨格力とタンニン力によって構築された体躯の中で思いのほか綺麗に輝いています。キャンティエリアのサンジョヴェーゼとはひと味違った指向性があり、力ある豊かな資質と質感が興味深い美点になっているとも言えます。翌日に持ち越す事でかなり安定感は増すものの、それでも定位におさまりきれない若干のちぐはぐさが気になるところですが、そういった表層の特性とは関係なく、本質に潜む品位、風格、気品などが、隠しても隠しきれないもののように滲み出てくるので、この土地と造り手の持つポテンシャルには大きな期待が持てそうです。

大方の想像通り、体躯の中央はポッテリとした豊満なものではありますが、テクスチャの解像度や舌触りはいたって良質で、このあたりは昼夜の寒暖差が大きいというこの地の持つ性質が大きく貢献しているのかもしれません(2003年8月の平均気温は昼43度、夜18度)。状態が万全でない事や、ヴィンテージの特徴などを差し引いたとしても、かなり期待が持てる世界観なのは確かであり、「オルチャ」という土地と「ポテーレ・フォルテ」という名前はしっかり記憶にとどめておく価値のあるものだと言えます。

今回の1本を実際に飲んだ感覚としては、そのクオリティのリアルな対価は現状の半額ぐらいが適正のように感じたので、今後そのあたりの価格帯まで降りてくるようなことがあれば(もしくは今の価格に見合うような飛躍を遂げたら)、迷う事なく「一度は経験すべきサンジョヴェーゼ」と呼べるアイテムになるかもしれません。
(2008/11)

参考市場価格13,860円~15,540円(平均約14,693円)
点数評価91(V)、87(LM)

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