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メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランという国際3品種によるブレンドで造られます。平均樹齢15年、6,000本/haの植樹が行われた6haの畑は「Assisi」と「Spello」のエリアにあり、海抜400mに位置しています。約12ヶ月を225リットルのフレンチオークカスクで熟成し、その後の瓶熟は12ヶ月となっています。ワインメーカーは「ミスター・メルロー」としてお馴染みの「リッカルド・コタレッラ」が担当。
抜栓日はカベルネ系の緑を感じる漢方+ハーブ風味が仄静かに漂ってくる印象で、多少サン・レオナルドやモンテヴェトラーノに近い表情も感じますが、圧倒的に異なるのがその「風貌」。圧倒的なタンニン量と体躯に隅々まで行き渡る充足感、これらの強固なエネルギーと完熟濃厚果実の魅惑的表情が絡み合い、まさにパーカー好みとでも言うべき一目瞭然の体躯力が非常に印象深くなっています。
やや一昔前のスタイルを継承しているような印象もありますが、それでも決して暴れることなく非常にうまくバランスしており、高アルコール(なんと15%!)、タンニン、完熟果実、酸による均整のとれたスタイルに、体躯内を淀みなく突き進むことの出来る構成要素の微細さ、そして明確に感じ取れるテクスチャなど、現時点で歩む道においては非常に優れたポテンシャルと完成度を持ち合わせているといえます。
痺れるようなタンニンに圧倒されるので、出来れば抜栓後数日は様子をみて欲しいところですが、3日程度でかなり落ち着いた表情になり、当初見られた緑系の風味が完全に消えて「非常に豊かなタンニン」「超完熟果実」「バランスを補う酸」といった要素の連立による、とても分かりやすい昇華感がストレートに伝わってくるので、まずはその姿を素直に認め享受した方がより幸せになれそうです。進むべきより良い道の模索は今後も必要だと思いますが、現時点でのパッケージングに文句を付けてしまうと、造り手としてはもはや打つ手がないのではないかという気もしてくるので、ある意味「目の前にある姿に対して納得するしかない(善し悪しではなく)」といったところなのかもしれません。
現時点では、抜栓直後からその力が全開になるわけではないので、理想を言えば5年程度は熟成させておきたいところですが、ゴリ押し一辺倒の厳つい系ではなく明確な質感を持っていることもあり、数日かけてて向き合いさえすればその全容は十分解明できると思います。とりあえず、抜栓日に勢いで飲みきってしまうことだけを避けておけば、今飲んでもそれほど大きな問題はなさそうです。
(2009/09)