- Good Quality -
エクスクルーシブ・ナンバーナインに使用される葡萄は、カベルネ・ソーヴィニヨン、テンプラニーリョ、メルローの3種類。フレンチオークの新樽で18ヶ月間熟成され、2005年の生産本数は8,014本となっています。
「特別仕様のナンバーナイン」といったポジションにありますが、その世界観はナンバーナインとはやや異なる印象を受けます。全体的に香りは閉じている傾向にありますが、より滑らかで流麗感に勝る質感があり、全体的なトーンがより高い位置へと推移しています。適度なアクセントとなるスパイス風味があり、豊富なタンニンも確かに存在しますが、そのタンニンは微細で完全に体躯に完全に溶け込でおり、細身の芯と程よく縦に伸張する酸などの表情によって、個性や重厚さといった要素は相対的に控えめなものとなっています。
継ぎ目のない滑らかな質感が主たる特徴であり、迫りくるパワーや孤高感を感じるような完成度を誇るタイプではありませんが、あまりにも自然に佇んでいることもあり(目指すは無の境地?)、どの角度、力加減で押し進んでもいたってナチュラルに受け答えてくれます。ナンバーナインと同じように抜栓日から楽しめ、それでいて2〜3日経過させることでより一層の昇華レベルが得られることなど、美味しさ、楽しさ、といった側面と熟成的なポテンシャルの両要素をバランスよく内包していると言えますが、それでもその価格(ナンバーナインの1.8倍近い価格)の正当性を内容から認めるのはやや難しい部分もあるので、相対的なコストパフォーマンスとしてはやや厳しい印象を受けるかもしれません(とはいえ、良いワインであることは確か)。
(2010/09)