- Very Good Quality -
単一クリュにこだわり、短期間でバルバレスコを代表する造り手となった「ラ・スピネッタ」。そんなスピネッタが満を持して世に送り出したバローロがこの「ヴィニェート・カンペ」。今回の2000年がファースト・ヴィンテージとなっていますが、2006年からは他に「ガッレッティ」というバローロも造られています。なお、バルバレスコのラベルには「サイ」の絵が描かれていますが、バローロのラベルには「ライオン」が描かれています。やはり王としてのバローロを表す動物といったところなのかもしれません。
方向性としてはスピネッタらしくモダンな指向性を主としたスタイルで、強い抽出によるハッキリとしたコントラストを感じる世界観となっています。まさにネッビオーロの持つ「タンニンの力」が遺憾なく伝わってくるパワフルなスタイルのバローロとなっていて、10年以上の瓶熟によってかなり落ち着いては来ているものの、口中の渇きを伴う収斂性ある多量のタンニンは健在で、今飲むにしても抜栓後に時間を与えた方が良い結果が得られると思います。ただし、重量感そのものは思いのほか軽快さが感じられ、鈍重さなどのないスマートかつ奇麗な佇まいとなっています(軟質のコルクが使用され、やや吹きやすい傾向にあるので管理には注意が必要かも)。
抜栓日は微細かつ重厚なタンニンに覆われてその他の要素がマスキングされていますが、時間とともにとき解れる傾向にあります。翌日に持ち越すと熟した果実の甘美な表情が全面付近にまで表出し、タンニンに比類するバランスへと推移していくので、相対的には豊富で強いタンニンが減衰していくようにも感じられます。完全に開ききると、ある種、エリオ・アルターレの同年のバローロにも通じる表情があり、抜栓当初の印象よりも遥かにエレガントなスタイルへと昇華した感もありますが(ポテンシャルを感じるスタイルから素直に美味しいスタイルへの変遷)、やはりまだまだ「これからのワイン(将来のヴィンテージに期待したいワイン)」といった感もあるので、今後ヴィンテージを重ねるごとにどんどん完成度を上げてその魅力ある世界観に磨きをかけていってもらいたいところです。
ちなみに、このワインは2005年度版ガンベロ・ロッソで最高評価のトレ・ビッキエーリを獲得しています。
(2013/01)