- Good Quality -
トリエステ近郊のカルソを代表する偉大な生産者であり、奇才、カリスマとも称されるのが「エディ・カンテ」。そんなカンテのワインの中で、ハイエンドに位置するシリーズがこの「セレツィオーネ(レゼルヴェ)」となります。
カンテといえば、カルソという地が持つ真のポテンシャルを具現化する究極の表現者として、その本質を追究する生産者としての一面がクローズアップされていますが、テロワールを重視す姿勢や、岩盤をくりぬいた地下セラー、はたまたラディコンと同様のボトルネックの直径が小さい特注ボトルの使用など、随所に己の信念を突き詰める姿勢が垣間みられます。
我が道を突き進むフリウリワイン…と聞くと、グラヴネル、ラディコン、プリンチッチなど、個性が際立ち過ぎてやや取っ付き難い印象があるかもしれませんが、このカンテのソーヴィニヨンについては、あくまでもマセラシオンを行わないスタンダードな立ち位置であり、ある意味においては「誰が飲んでも美味しい」と感じる素直な指向性も持っているので、安心して皆に飲んでもらいたいところです。
畑の標高は平均250m、樹齢は20年、7000本/haの植樹率、1株あたりの収穫量は500gとなっています。熟成は古樽のバリックで24ヶ月間。その後、酒質を安定させるためにステンレスタンクで5年間熟成されます。フリウリといえば醸し(マセラシオン)を行う白ワインのイメージが強い印象もありますが、ソーヴィニヨンやヴィトフスカと同様に醸しは行わず、クリーンな白ワインとして仕上がっています。
その世界観はまさに「ザ・ミネラル」。液体自体はいたって現実的な実像があり、シンプルかつストレートにその世界を形作っていますが、そこに別格の超ミネラル要素が込められています。もはや苦味や塩辛さを感じるほどの食感で、まさに岩を舐めているかのような鮮烈さを感じますが、現時点で既に10年弱の熟成期間を経ている結果もあり、その迫力に気圧されるようなことは決してありません。他のセレツィオーネと同様に、いたってフレッシュで、熟成感を感じるような指向性は持ち合わせていないので、状態は気にせず安心して飲むことができます(ごく普通に最新のヴィンテージを飲んでいるかのような印象)。シャルドネというニュートラルな品種を利用し、カルソという地の特性を遺憾無く発揮したかのような世界観なので、純粋にテロワールの力を感じてみたい人にはうってつけのアイテムと言えるかもしれません。
(2015/02)