- Very Good Quality -
カルソのテロワールを強く感じさせるワイン造りを意識し、1本1本の葡萄の樹を非常に大切にしているのが、1972年生まれというパオロ・ヴォドピーヴェッツ。彼は2011年ヴィンテージから4種類のヴィトフスカを手がけていますが、単一畑から造られるこの「ソーロ(ファースト・ヴィンテージは2004年)」は通常のヴィトフスカと同じ醸造方法が取られ、アンフォラで果皮とともに6ヶ月発酵後、スラヴォニアンオークの大樽で24ヶ月熟成されます。ヴォドピーヴェッツが誇るトップキュヴェであり、石灰岩の岩盤を削岩機で砕いて開墾した、他の区画とは異なる個性を持つ畑から造られているのが最大の特徴となります。
大樽が使用されているキュヴェということもあってか、しっかりとした色調の中にやや鮮やかさが見られます。とはいえ、基本的なスタイルとしては、ヴィトフスカTの延長線上にあるようなクリーンかつスッキリとしたタイプで、高い求心力と張りを持つ引き締まったボディが印象的な、最も明確にミネラルの素性を感じる系譜となっています(ヴィトフスカTをベースにオリージネとヴィトフスカを少量ブレンドしたかのような印象)。屈強な硬質感を具に感じますが、それでも決して厳格ではないというのがヴォドピーヴェッツらしい世界観でもあり、エレガントな佇まいとコアの高密度な凝縮感の対比が非常に印象的です。他のキュヴェとは異なり、内包する果実そのものにも張りを感じる引き締まった表情があり、結果としてカルソらしい硬質な世界観をより高めていますが、逆にヴォドピーヴェッツの特徴とも言える果実の享楽性についてはやや控えめになってます。
高品位のミネラル資質が具現化された良質な世界観ではあるものの、決して他の追随を許さないような圧倒的な世界観という訳ではなく、むしろシンプルに纏め上げられた印象の方が強いこともあって、純粋な訴求力は相対的にやや控えめな傾向にあります。他のキュヴェよりも一段高価格であるという側面もあるので、基本的にはヴォドピーヴェッツの世界観をより深く探求するためのプラスアルファ的なポジションにあるキュヴェと言えるかもしれません。
ソーロについてはあくまでも他のキュヴェを全て飲み尽くした人がターゲットになりそうな印象でもあるので、仮に4キュヴェの中から1本のみを選ぶとするならば、個人的にはヴィトフスカTの方をよりお薦めしたいところです。
(2018/04)