- Good Quality -
恐らく日本市場向けだと思われるこの「クオーレ・ネル・クオーレ」は、北条司原作の漫画「シティーハンター」「エンジェル・ハート」の30周年を記念した特別ラベルになっています(中身はアッシジ)。
スタンダードなアッシジは、ヴィンテージによってポテンシャル系の要素が強い時と、逆に親しみやすい表情が強い時の差がかなりありましたが、今回の1本は想像以上に親しみやすいスタイルに寄った世界観となっています。基本的には軽やかな指向性で、赤系果実と程よい酸が主体となったキュートさが特徴なので、従来のアッシジよりもサンジョヴェーゼらしい表情にスポットが当たっているとも言えます。とは言え、サンジョヴェーゼ然とした硬質感やタイトさは全く感じられず、むしろメルローらしい丸みのある柔らかさが口当たりの良さを生み出し、万人受けしそうな飲みやすい表情を作り出しています。
従来よりもアルコールが一層抑えられていることもあり(13%)、かなり手軽に飲めるスタイルへと推移している印象を受けますが、土着的なサンジョヴェーゼと国際的なメルロー&カベルネらしさが折衷された、バランスの良いスタイルだとも言えるので、ワイン初心者層をターゲットにした場合はある意味ちょうど良い世界観なのかもしれません。反面、クラスを超えるようなポテンシャルは感じられないので、これまで通常のアッシジを飲み続けてきた層に対しての訴求力はかなり下がってしまった印象でもあります。これがこのワイン固有の特徴なのか、それとも2013年のアッシジの特徴なのかは現時点では不明ですが(要比較試飲)、少なくとも、シティハンターに特別な思い入れがない限りは、通常のアッシジを選択したほうが無難だと言えそうです。
(2018/07)