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ニュイ・サン・ジョルジュ(プルモー・プリセ村)最南端にあるモノポールのプルミエ・クリュが「クロ・ド・ラ・マレシャル」。2003年まではフェヴレによって賃貸耕作が行われていましたが、50年以上続いてきた契約が終了し、2004年以降はフレデリック・ミュニエの手に戻っています。
非常に滑らかな表層と、細部まで丁寧に造られた品格が印象的で、終始落ち着きのある優美な世界観が広がります。全体像としてはやや薄めの酒質ではありますが、身の詰まり具合は十分あり、赤系果実の心地よさと、どこかシャンボール・ミュジニーを彷彿とさせるエレガントさが特徴的です(日本人の好みにあった世界観)。インパクトや派手さのあるスタイルとは対極にあり、その指向性からして第一印象としてはニュイ・サン・ジョルジュらしくないイメージを持つのが実際のところですが、それでも芯は張りのある固さを持っていて、翌日に持ち越すことでボリューム感や丸みのある肉厚さが表出し始めます。ヴィンテージ的に1年の違いがあることもあってか、直前に試飲したシュヴィヨンのシェニョやアンリ・グージュのクロ・デ・ポレ・サン・ジョルジュと比較すると、抜栓日よりも抜栓翌日の方がより発展して行く傾向にあるのが印象的でもあります。
アンリ・グージュとはまた違った指向性で「飲み手に経験値を要求する世界観」になっているので、バックグラウンドを理解せずに飲んだ場合は本来のポテンシャルを生かしきれないかもしれません。どちらかというと地味な系譜にありますが、その丁寧な造りに注視することが出来れば、根底に流れる良質な素性を感じ取れると思います(とは言えコストパフォーマンスに難があるのであくまでも富裕層向け)。
(2018/09)