- Good Quality -
モーゼル中部のヴェーレナー・クロスターベルクで、8代続く家族経営のワイナリーが「マーカス・モリトール」。畑は15箇所に分散され、トータル100haにも及びます。主要品種はリースリングで、辛口(ヴァイス・カプセル)、中辛口(グリューネ・カプセル)、甘口(ゴールデン・カプセル)と、大きく3つに別れたラインから非常に多くのキュヴェが造られているので、全容を把握するのがなかなか困難ではありますが、今回試飲するのはリースリングではなくピノ・ブランで造られる辛口(トロッケン)で、複数区画の樹齢30年以下のブレンドで造られるお手軽なアイテムとなっています。
スッキリとした清涼感溢れるクリーンかつピュアなスタイルではありますが、想像を大きく超えるレベルで豊満な果実味を有しているのが印象的です。青リンゴのような爽やかさを感じさせつつも、リッチで濃密な甘味があり、ライチやマンゴーと言った南国のニュアンスを彷彿とさせる充実感が素直な魅力を生み出しています(甘味はあるがあくまでも辛口仕立て)。冷涼なドイツのイメージというよりは、どちらかというと天候が良好なニューワールド寄り、かつ高地で造られるワインのような印象でもあり、多くの層に刺さる素直な表情だとも言えます。抜栓日はやや端的な傾向にありますが、それでも翌日に持ち越すと豊かさが倍増し、クラスを超える高いポテンシャルを感じることができるのも大きな特徴で、お手軽なラインのアイテムでありながら、幾度も100点を獲得し非常に高い評価を得るマーカス・モリトールの手腕がしっかり感じられるので、造り手を知るための最初の一本として最適な印象です。
(2021/12)