- Good Quality -
アルバロ・パラシオスの中では最もお手軽なアイテムで、若いうちから楽しめるワインがこの「カミンス」。セパージュはガルナッチャ55%、シラー15%、カベルネ・ソーヴィニヨン12%、メルロー10%、カリニャン8%。2020年は非常に暑く、雨が多かったというのがヴィンテージの特徴になります。
基本的な質感自体は、パラシオス・レモンドの特別キュヴェでもある「プロピエダッド」に似た傾向にあり、軽やかなエレガントさと丁寧に仕上げられたテクスチャが印象的です。どの要素も際立って濃密で、熟した果実の甘みはやや糖質ながらも主張は明確で、しっかりとした酸もあり、後味にかけて高アルコールらしいヒリヒリとした辛味、そして同時に苦味もかなり強めで、樽要素も明確に感じる傾向にあります。造りそのものとしては、決してお手軽なレンジとは思えない仕上がりで、ある意味、アルバロ・パラシオスのワインに共通した同一の世界観でもあるので、ピンポイントに訴求するタイプのワインではありますが、やはり際立ったアルコール感の高さ(表記自体は14.5%)からくる「飲み疲れしやすい性質」はある種の課題かもしれません。技術的には、逆浸透膜やスピニング・コーンなど、最新のハイテク技術を使ったアルコール低減方法も確かにありますが、アメリカだけでなく(2001年から)、オーストラリアやニュージーランドなど(2017年から)、ニューワールドでは発酵時の加水によってアルコールを下げる手法が法律で解禁されているので、長年禁止され続けているEUにおいても、気候変動対策として一考するタイミングがきているのかもしれません(それぐらい表記の度数以上にアルコール要素が強い)。
翌日に持ち越すと、これもまたパラシオス・レモンドの他のキュヴェと同様に一気にエネルギーが減衰し、目に見えて大人しくなるのでかなり飲みやすくはなるものの、その反面、このカミンスは全体的なエネルギーバランスが変化し、結果としてやや苦味が際立つ傾向にあったので、サービスする側として捉えた場合はやや扱いが難しい部類に入るかもしれません(お手軽なレンジのアイテムなのに時間経過による扱いは意外とシビア)。
(2022/05)