- Good Quality -
滋賀県東近江市の栽培農家「中西耕」が育てた樹齢18年のシラーを京都の四条河原町にある髙島屋、その新館「T8」ゾーンの地下1階「Eat8」ゾーンにある完全都市型のアーバンワイナリーで醸造。栽培時の農薬使用は二度のみに抑え、醸造に関しては一粒一粒を手作業で除梗と破砕し、培養酵母の添加を行わず天然酵母のみで発酵、さらには補糖も行わず(なのでアルコール度数は10%と低め)、酸化防止剤も一切添加せずノンフィルターでそのままボトリングしています。総生産本数は73本、うち一般流通本数は50本のみという超限定生産品になります。
無濾過ですが純粋な澱は少なく、立てて置いておけば意外と色調もクリアな傾向にあります。果実感はやや黒系寄りですが低アルコールのナチュラルワインらしい優しい味わいで(故にテクスチャの解像度は低い)、土っぽいニュアンスのスパイスや程よいタンニンは感じるものの、全体像としては終始軽妙な傾向にあります。酸の資質が野生的なこともあり、表情は野葡萄系(程よくカシス的)なので結果として紫寄りの黒系果実感が印象として残ります。ボトルの底の方になると流石に濁りが見られるようになりますが、それが逆に甘酸っぱい旨み系の要素として全体を底上げし表情が豊かになるで(逆にいうとボトルの上の方はやや薄く水っぽい)、もし大勢で飲むような場面であれば抜栓前にゆっくりとボトルを逆さまにして中身を撹拌させて均一化させた方がより良い結果が得られるかもしれません(サービスが少し難しそうな印象)。
生産本数が極端に少なく、尚且つ優しいスタイルのナチュラルワインということもあるのでマジョリティ向けのワインではありませんが、それでもシラーという品種に対する概念を変える独自の世界観を持つ面白いワインなのは確かなので、もし出会う機会があれば試してみる価値はあると思います。
(2025/04)