- Good Quality -
澤登晴雄が様々な山葡萄を交配して作った品種がこの「小公子」。山葡萄系と言うこともあり、凝縮感がありながらも野生味溢れるスタイルを想像していたものの、実際は思った以上にマイルドでバランスがとれている印象です。口当たりの良さをかなり意識して構成しているような傾向にあり、ボディは軟質で骨格があるようなタイプではありませんが、野生味はかなり穏やかでカシス系の凝縮感のある甘味のおかげで飲みやすく仕上がっています(酸とのバランスも良い)。程よい清涼感によってヤマソーヴィニヨン的な雰囲気も多少は内包していますが、癖があるような表情ではなく、終始穏やかで丸くぽってりとしたボリューム感が適度な親近感を生み出しているとも言えます。
抜栓日はかなり好印象で、今後の進化に期待が持てる良好な世界観だと言えますが、やはり軟質なボディと口当たりの良い甘味がベースにあるので、抜栓翌日に持ち越すとそこがより強調されてしまう傾向にはあります。そう言った意味では抜栓日に飲み切ってしまう方が受ける印象は良さそうですが、それでも可能性を感じるのは確かなので、日本固有の「小公子」と言う品種のポテンシャルを信じて見守ってみたいところではあります。
(2025/06)