- Good Quality -
2022年のパストゥグランは買い葡萄によるネゴシアンものの「ヨイチノボリ」としてリリースされ、セパージュもピノ・ノワール70%にツヴァイ30%というブレンド比率でしたが、2023年はリュット・レゾネで栽培されるドメーヌ物になっているようで、セパージュもピノ・ノワール97%にツヴァイ3%とブレンド比率も激変しています。醸造は樹脂タンクを使用し野生酵母で全房発酵。新樽比率15%で樽熟成。アルコール度数は11.5%。
重層的で多様な要素が絡み合って構成している傾向にあり、やや自然派的な退廃感や酸を有する陰な性質ではあるものの、松茸や枯れ葉のような独自性ある風味があまり他にはない個性を生み出しています。一般受けするような分かりやすい表情ではありませんが、純粋なピノ・ノワールという品種の個性よりも産地や造り手の個性の方がより前面に打ち出されている印象です。
世界的にも高く評価される日本トップクラスの造り手であり、供給量が限られている上にそもそも一般的に流通しているワインではないので、結果、圧倒的に需要の方が高くプレミア化してしまっているという現状にはやや嘆かわしさを感じるものの、それでも正規の価格であれば十分納得できる内容だと言えるので、機会があれば飲んでみる価値はありそうです。
(2025/07)