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エペルネから南に5km行った所にある「ピエリー村」に拠点を置く生産者がこの「ジャン・マルク・セレック」。ヴァレ・ドラ・マルヌとコート・デ・ブランに挟まれた場所にあるサブリージョン「コトー・シュッド・エペルネ」は、沖積砂土壌と石灰岩が混じり合い、粘土質土壌や泥灰岩なども含む多様な土壌で形成されているのが特徴となります。
「ソレイユ(太陽)」と「エッセンス」という意味を込めた造語でもある「ソレサンス」と名付けられたこのキュヴェは、シャルドネ50%、ピノ・ムニエ40%、ピノ・ノワール10%というブレンド比率で、シャンパーニュの7つの村「ピエリー」「ムシー」「エペルネ」「マルドゥイユ」「ディジー」「ブルソー」「ヴェルテュス」の葡萄をブレンドして造られています。栽培はオーガニックで、2010年以降は一部でビオディナミも実施。平均樹齢は40年。2000年から継ぎ足しているヴァン・ド・レゼルヴを50%ブレンドし、発酵に関しては90%がステンレスタンク、残りの10%がオーク樽を使用。熟成は10ヶ月間で、瓶熟は24ヶ月間。今回のロットはデゴルジュマンが2024年3月、ドザージュは2g/lのエクストラ・ブリュットになります。
やや黄色がかった黄金色で、受ける印象としてはピノ・ムニエがやや多めにブレンドされているような系譜の世界観となっています。所謂ハイエンド系の個性あるシャンパーニュ像ではなく、あくまでも多様な要素を組み合わせて造るブレンドの妙を生かした従来のシャンパーニュ像をより洗練させて研ぎ澄ませたようなスタイルで、王道を行くような大手メゾンのスタンダードシャンパーニュの雰囲気を感じさせつつも、より細部にピントが行き届いた集中力と解像感が印象的です。イーストのニュアンスやミネラルを感じるシャープな表情を生かしつつも、決してドライになりすぎない適度な飲み口の良さが非常に好印象で、2g/lと抑えられたドザージュが非常に功を奏している印象でもあります(意外と口当たりの良い優しい甘味がコアにある)。多様な要素が複雑に絡み合うことで構成される様式美こそが王道的なシャンパーニュの魅力でもあるので、そういったバランス感と構成要素の魅力を素直に楽しむことができる非常に良質なシャンパーニュだとも言えます(コストパフォーマンスも非常に良好)。
(2025/09)