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3世代続く葡萄栽培農家を2000年に引き継ぎシャンパーニュの原酒造りをスタート。その10年後に自身のRMシャンパーニュブランドを立ち上げたのが「ジュリアン・プレラ」。畑はコート・デ・バールの中で最もレコルタン・マニピュランが多く存在するセル・シュール・ウルス村にあり、その広さは僅か2.5haほど。さらにその畑の1/3を自身のシャンパーニュで使用し、年間生産本数は約8,500本となっています。
ジュリアン・プレラと言えば「単一品種」「単一区画」「単一収穫年」というこだわりを持っていますが、今回のキュヴェは「2020年」に「レ・レヌ」という畑(南西向きで土壌はキンメリジャン)で栽培された「シャルドネ100%」で造られるブラン・ド・ブランになります。植樹は2007年。生産本数はブティーユ1,470本、マグナム81本、ジェロボアム10本とごく僅か。ドザージュは0gのブリュット・ナチュールで、デゴルジュマンは2024年3月。
コート・デ・バールのキンメリジャン土壌と言えばシャブリと同じですが、実際にはシャルドネよりもピノ・ノワールの方が主要品種になっているので、意外とシャルドネで造られるブラン・ド・ブラン・ド・ブランは希少な存在とも言えます。スタイルとしてはジュリアン・プレラらしい軽妙でシンプルに構成された世界観ですが、シャープでキレのある明瞭なテクスチャに、ドザージュ・ゼロとは思えないバランスの良さ、そしてコアには甘味すら感じられる緻密な要素が感じられます。とにかく終始全体のバランス感が良好ですが、それでも細部を紐解くと、冷涼産地らしい酸が全体をとまとめる鍵になっていて、決して鋭すぎない範囲内で収まりつつ、それでいて酵母感のある仄かな熟成要素も感じられます。全体的に線は細めで、分かりやすい訴求力やポテンシャルを放つようなスタイルでもありませんが、それでも「シャルドネ×キンメリジャン」というテロワールの魅力と、ジュリアン・プレラらしい仕上がり感によってノン・ドゼタイプのブラン・ド・ブランとしては良好な世界観を生み出しています(泡の質感もクリーミーで非常にポジティブ)。
(2025/09)