- Good Quality -

北海道石狩市八幡のピノ・グリを100%使用。収穫は手摘みで2024年10月4日に行い(糖度は20.3度、総酸度8.93)、選果した後に空気圧を利用するメンブレンプレスで全房圧搾(ホールバンチプレス)を実施しています。その後、低温で24時間の果汁循環(パルプコンタクト)を行い、24時間静置した後に澱引きを行い、酵母を加えてステンレスタンクで発酵(12日間)。4ヶ月間シュール・リーの状態で熟成させ、澱引き後に濾過と少量の亜硫酸を添加しボトリングしています。アルコール度数は11.5%。生産本数は僅か1,000本のみ。
非常に綺麗な水流のような心地よさと、適度に引き締まったミネラル要素が相まった美麗なスタイルで、ラベルデザインやスノーリバーという語感に見合ったイメージ通りの仕上がりになっています。研ぎ澄まされたクリーンさが非常に好印象で、グレープフルーツやレモンのようなシトラス系の優しい風味に、健やかで清涼感のある爽やかさと、中盤から広がるグリ系品種らしい苦味が程よいアクセントになっています。
ピノ・グリと言えばマセラシオンをしっかり行うオレンジワインが多く造られていますが、実際2023年はオレンジワインに仕上げたものの、今回の2024年は逆に冷涼産地らしい酸と適度な果実感を生かしたスタンダードなスタイルに方向転換しています。終始クリーンで爽やかな表情が広がるので、どちらかというとピノ・グリというよりもソーヴィニヨン・ブランやシャルドネに近い雰囲気で、品種感よりも産地や造り手のスタイルの方が色濃く反映されているような印象でもあります。日常の食卓で楽しめるような立ち位置を目指しているとは言え、実際には思いのほかポテンシャルを感じる傾向にあり、抜栓日よりも翌日に持ち越す方が、グリらしい収斂した苦味要素が全体をうまく下支えしているような傾向にあったので、日常プラスアルファの場面でも十分活躍してくれそうな印象です(そういう意味では概ね価格帯に見合ったクオリティとも言えそう)。
数値からもわかるように、基本的にはかなり豊かな酸を持った仕上がりになっているのだとは思いますが、実際には北海道という環境やボトリング後の低温での保管の影響などもあってか、かなり大量の澱や酒石酸が結晶化して沈殿していたので、口当たりとしてはそこまで酸を感じることもなく非常に良好なバランス感になっています。クリーンでありながらも芯があり、緻密でありながらも水のようにスルスル飲めてしまうというのが最大の特徴でもあるので、かなり幅広い場面と層に対して素直に訴求してくれそうです。
(2025/10)