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「ヌマンシア」や「エストラテゴ・レアル」などでお馴染みの「ファミリア・エグレン」が、リオハの「サン・ビセンテ・ラ・ソンシエラ」で1アイテムのみを手掛けるワイナリーがこの「セニョリオ・デ・サン・ビセンテ」。畑は標高620mで、品種はこの畑のみで栽培されているという「テンプラニーリョ・ペルド100%」で、マッサール・セレクションによって株を増やしています。
シナモンなどの多様なハーブ風味に完熟プラムのような熟度の高い赤紫系の果実味が相まって、エグレン家らしい分かりやすいスタイルの表情が広がります。熟した果実の甘味がストレートに伝わるので口当たりが良く、14.5%と言う高いアルコール感をものともしない素直な飲みやすさが非常に印象的です。抜栓直後は特にボディの中抜け感がやや気になるところではありますが、数十分程度で気にならなくなり、全体像が鮮明になるにつれて、滑らかでシルキーな質感を生かした軽やかな立ち振る舞いを意図的に構築しているかのようにも感じられます。スタイルとしてはやや端的な傾向にはありますが、それでも飲み心地が良好で、伝統産地における現代的スタイルの模範的な解答とも言えるのは確かで、熟度の高い高アルコール系らしい世界観でありながらも、無理なく1本飲み進められそうな程よい親近感を有しているので、純粋なコスト的側面をそこまで重視しなければ、相応に高い満足感が得られそうな印象でもあります。
(2025/10)