- Good Quality -

自社畑の葡萄から造るフラッグシップシリーズがこの「ドメーヌ・クロッシュ」。ファースト・ヴィンテージの2019年は委託醸造でしたが、この2000年は遂に念願となる初の自社醸造による完全ドメーヌ物となります。フレンチオークの新樽で10ヶ月間、更に瓶熟成が41ヶ月間と、長期にわたる熟成が行われています。生産本数は1樽のみで320本のみ。アルコール度数は11%。
色調はややエッジにかけてオレンジがかっていて、一見するとネッビオーロのような印象でもあり、長期間熟成されたキュヴェだということが見た目からも伝わってきます。味わいとしてはピノ・グリがブレンドされていた2019年とは全く異なり、より厳格で質実な表情がうまく構築された、ポテンシャルを感じる系譜のピノ・ノワール像が展開されます。魅力的な甘旨みは2019年と比較するとかなり控えめですが、山形の葡萄が持つエネルギーをしっかり抽出している印象でもあり、長期熟成を経てもなお渋みや苦味などの粒だちはしっかりと感じられます。日本のピノ・ノワールとしてはかなりしっかりとした造りで、ベルウッドとしての明確なビジョンを感じる世界観でもあるので、そのポテンシャルの高さは十分な水準だと言えます。時間とともに徐々に昇華し、抜栓後数時間でかなり綺麗に開いて魅力ある表情を展開してくれますが、翌日に持ち越すとやや退廃的なニュアンスが前に出て若干バランスが悪くなる瞬間もあったので、総ポテンシャルは高いものの、それでもこれ以上長く熟成させる必要はあまりなさそうで、今後1〜3年程度で飲み切っても特に問題はなさそうな印象でもあります。少なくとも、初醸造でここまでしっかり仕上げてくるなら、今後の更なる発展と進化に大きな期待が持てそうです。
(2025/12)