- Good Quality -

偉大なキャンティ・クラッシコを数を多く産出するマッツェイが2006年に取得したのがこの「イル・カッジョ」。150ha中6.5haで葡萄栽培が行われていて、ファーストリリースは2015年ヴィンテージ。マッツェイによるセレクション・マッサールのクローン4種に加え、まだ記憶に新しい「キャンティ・クラッシコ2000プロジェクト」で選出されたサンジョヴェーゼ・クローンの中から3種、さらにクローンF9、クローンT19と、合計9種類のクローンから厳選した最高のグラン・セレツィオーネとしてサンジョヴェーゼ100%の「イプスス」を手掛けています。
一般的なキャンティ・クラッシコ像とは異なる世界観で、かなりリッチでモダンなスタイルと言うこともあってか、どちらかというとオルネッライアやオーパス・ワンと言ったようなハイエンド系のブランド力ありきのワインのような、人の力を明確に感じる仕上がりになっています。これぞまさに「新樽(500リットルのフレンチオークで24ヶ月熟成)」と言ったリッチで濃密なバニラのニュアンスが広がり、彩度も高めな傾向にはありますが、その化粧っ気に負けないよう葡萄そのものの力もしっかり感じられるので意外とバランスは取れていて、あざとさを感じるようなことも特にはありません。ただし、テクスチャは妙にツルッとしていて(そこがサンジョヴェーゼらしいと捉えることも可能ではありますが)、タイトな厳格さや厳しさといったハイエンド系サンジョヴェーゼらしい資質は皆無で、とにかくボディは終始「軟質」なのがかなり気になるところではあります。特に抜栓日は単調かつシンプルな傾向にあり、価格帯から想像する期待値との乖離にかなり残念な気分になります。抜栓翌日に持ち越すことで余計な力が抜け、本来の構成力が垣間見れるような状態にはなりますが、それでも世間の評価から期待するような突き抜けた存在感ではなく、あくまでも一般的な評価基準による良好なワインの範疇に収まるレベルなので、少し肩透かしを食らってしまうと言うのが正直なところでもあります。
基本的に今すぐ飲めるわかりやすいスタイルではあるものの、それでも化粧感が強めなので、やはり本来の飲み頃はもう少し先で、出来れば更に3〜5年程度待ってリッチな化粧感がうまくボディに馴染むのを待った方が良さそうな印象ではありますが、それでも現在の価格帯からすると、正直なところ既に確固たるブランド力を発揮しているよりメジャーな造り手のアイテムを選んだ方が絶対的な満足感は高いと言えます。また、価格の高さもさることながら、このクラスのワインにアカシアガムを堂々と添加していて、更にその添加しているという事実が味わいにもしっかりと反映されていると言うのが輪をかけて気になるところでもあり、結果として本来のサンジョヴェーゼらしさやテロワールの優位性よりも、人の手で造られている感が強調されてしまっているのが最も引っかかるポイントかもしれません(とは言え価格を度外視すれば決して悪いワインではない)。
(2026/01)