- Good Quality -

ダリオ・プリンチッチ史上最高の収穫を迎えた2016年は、スタンダードのトレベツを生産せず、通常よりも長期間マセラシオンを行う「セレツィオーネ」としてリリースしているようです。セパージュは、シャルドネ、フリウラーノ、ソーヴィニヨン・ブランのブレンド。従来は、トレベツ用の畑の中でより質が高い葡萄が育つ区画を2週間遅く収穫し、その高い熟度を活かす方向で通常よりも長い35〜40日という長期マセラシオンを行う特別キュヴェとなっています。5つの古樽のバリックで5年間熟成させていますが、基本的にはウイヤージュせず産膜酵母を壊さず維持するというなかなか衝撃的な手法をとっています(とは言え1樽だけ産膜酵母を破壊するらしい)。
長期マセラシオンの効果がハッキリとわかる濃厚な琥珀色で、直前に試飲した通常のトレベツとは異なり全体にくぐもっていてボトル全体が濁り状態にあります。表情や世界観としては通常キュヴェとそこまで大きな路線の違いはなく、退廃的な要素を内包する明確な酸を主体として、一段上の水準に達する充実感を生かした飲みごたえがより印象的です。ポイントとしては、やはり「温度を下げすぎないこと(赤ワインと同じぐらいの温度の方が良さそう)」と「モンラッシェ用の大振りなグラスを使用すること」で、適切にポテンシャルを引きだすことが出来れば高い満足感を得ることができます。ただし、以前試飲したファースト・ヴィンテージの2011年や翌2012年のような「圧倒的エネルギー感」は特に感じられず、あくまでも現実的な水準で各要素が紡がれ構築されているような傾向にあります。現時点で10年の熟成を経ていますが、特別熟成感を感じるわけではなく、元々の表情のまま10年という歳月を重ねたと言った印象でもあるので、基本的にはいつ飲んでもその本質に大きな違いはなさそうです。
個性的で拘りの強いオレンジワインを望む層にはピンポイントでハマりそうではありますが、それでも以前とは異なり「価格帯が従来の倍の水準まで高騰している」という現実を鑑みると(これは為替の問題ではなく蔵出し価格の問題かも?)、流石に純粋なコストパフォーマンスとしてかなり分が悪い印象でもあります。逆に言うと、価格を全く気にしない富裕層であればこれと言って大きな障害にはならないので、そう言ったターゲット層であれば以前と変わらずお薦めできるとは思います。
(2026/01)