- Good Quality -
ユーゴスラビアから移住してきた「ブラコヴィッチ・ファミリー」によって1944年に設立されたのがこの「クメウ・リヴァー」。ワインメーカーでもある長男のマイケルは、ニュージーランド初のMW(マスター・オブ・ワイン)としても有名です。
ハンティング・ヒルの畑は、隣接するマテズ・ヴィンヤードを見下ろす位置にある斜面にあり、初めて植樹されたのは1982年ですが、2000年に植え替えが行われたことで品質がさらに向上しています。
ニューワールドらしい充実した果実の甘みが印象的で、白桃、ライム、レモンの風味に加え、ナッツや酵母のニュアンスが順に広がります。親しみやすく心地よい口当たりですが、後味にかけて鉱物的な質感や、表層に広がる収斂さが感じられ、どことなく仄かな発泡感にも近い印象を受けます。翌日に持ち越すと、分かりやすい果実主体の表情からより落ち着いた質実系の表情へと推移することもあり、ハンティング・ヒルが持つ世界観のコアになっているのは決して外交的な甘い果実味では無く、あくまでも体躯を形成する土台部分にあるような印象を受けます。
市場の評価は非常に高いものの、偉大な世界観や圧倒的なエネルギーを感じるような系譜ではなく、あくまでも「多くの人が素直に理解できる明快な美味しさ」を持った指向性となっています。小難しさがなく受け入れやすい反面、感動するような要素は特になく、むしろ全体を通してややコントロールされた醸造技術の方を色濃く感じる傾向にあるので、この辺りは飲み手によって多少受ける印象が変化するかもしれません。とは言え、良質で文句なく楽しめる美味しいシャルドネなのは間違い無いので、ニューワールド系のスタイルが好みの人であれば非常に高い満足感が得られそうです。
(2018/09)