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父から受け継いだ「ステルハイス・ワインズ」の現オーナーでもある「ヨハン・クルーガー」が、ベルギー人の妻ソフィーとの結婚を機に設立したワイナリーがこの「クルーガー・ファミリー・ワインズ」。
アッパー・ヘメル・アン・アード・ヴァレーにある「パーリー・ゲーツ」という区画の畑から造られるピノ・ノワールですが、完全除梗しステンレスタンクで醸造されるエランズクルーフとは異なり、このパーリー・ゲーツは全房比率20〜40%で、フレンチオークの古樽を使用し11ヶ月間熟成されます。
ピノ・ノワールらしい軽やかな体躯に、ニューワールドらしい身の詰まった明確な果実感が込められているのが印象的で、全体像としては、どことなくニュージーランドで造られるピノ・ノワールに似た世界観を持っています。本質的な部分はエランズクルーフと共通している印象ではありますが、方向性自体はかなり異なる印象で、やはりアタックから伝わる甘旨い果実の魅力が心地よく、そのパッケージング力や兼ね備えた魅力は数段上と言ったところでもあります。純粋な点数評価としては、そこまで大きく伸びるような印象ではないものの、それでもとにかく訴求力が高く、昔のクスダ・ワインズを彷彿とさせるような魅力ある果実味には、素直に身を委ねたくなります。
気にになる点があるのも確かで、後味にかけて強めの収斂要素があり、各要素のバランス面に関してはまだ改善の余地もありますが、それでも実際は、そういうことが瑣末に感じてしまうほど素直な魅力を兼ね備えているのが大きな特徴で、正直、分析的なスタンスでテイスティングするよりも、むしろ考えるのをやめてストレートに美点を享受し、ポジティブな面に注視してやるべきだと感じるほどでもあります(プチ享楽的)。この価格帯でここまでしっかり纏めてくるあたり、さすがは「南アフリカにおける2005年の最優秀若手ワインメーカー」として選ばれているだけのことはあると言った感じでしょうか。
(2021/03)