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樹齢6〜22年のピノ・ノワールとピノ・グリを、全房圧搾による混醸で造った個性ある一本。公式では「中口の白ワイン」となっていますが、純粋な見た目としては完全に「ロゼ」。淡いピンクの桜色が非常に綺麗ですが、一般的なスティルのロゼはセニエで造られるものの、このピノ・ブラッシュは白ワインの製法で造られているので、立ち位置としてはシャンパーニュでよく見られるような「ブラン・ド・ノワール(黒葡萄で造る白)」に近いカテゴリーかもしれません。また、バッカスと同じ「中口」になっていますが、バッカスのような明快な甘みは特になく、純粋な果実感のみで全体像としてはいたってドライに仕上がっています。
スタイルはやや個性的でしっかりとした風味が強く、多少醸造的で酵母感が強めに出ていますが、それでもフレッシュな佇まいと豊富な酸があり、シャープな口当たりに青梅や桃のような果実感が相まって、一般的なロゼとは一線を画す複雑味と充足感を持ち合わせています。全体的に、北海道らしい豊かな酸をうまく引き立てる方向で仕上げているのが非常に好印象で、シャープな酸を感じるのに刺々しさが一切なく、バランスよく楽しめる表情を構築しているので素直な心地よさが余韻として残ります。11%とアルコールも低めで気軽に飲めるスタンスなのも好印象で、バッカスよりも多少ターゲットとなる層は狭まりそうな印象ではありますが、それでも十分な訴求力とコストパフォーマンスを発揮できていると言えそうです。
(2021/06)