- Good Quality -
京都府相楽郡精華町出身の中野雄揮によるレーベルが「久能ワインズ」。ニュージーランドのネルソン、日本の山形県、オーストラリアのバロッサ・ヴァレーなど、世界各地からその土地のキャラクターを生かしたワインを生み出しています。
アリストロメリアのセパージュはピノ・ノワール100%。全体の2/3がclone 10/5の除梗、残りの1/3がclone 5の全房発酵(5日間)で、いずれも野生酵母を使用。オーク樽で10ヶ月間熟成後、無清澄無濾過、酸化防止剤無添加でボトリング。全房発酵比率が低いアリストロメリアに対して、逆に全房発酵比率が高くなっているのがコンヴァラリアになります。
コンヴァラリアとは全房比率の差しか違いはありませんが、それでも実際に飲むとその表情はかなり異なっています(全房比率だけでここまで変わるのかというぐらい違う)。表情にやや硬さが見られたコンヴァラリアとは異なり、こちらのアリストロメリアは硬さが一切なく、むしろ果実の優しく心地よい仄かな甘みが感じられるおかげで、やや陽的な指向性が強くなっている傾向にあります。噛み締めることで滲み出るような滋味深さは減っていますが、その代わりアタックから分かりやすいスタイルになっているので、より幅広い層に対して素直に受け入れられそうな印象です。
焼酎を彷彿とさせるような、ツンと立ち上る揮発香がやや気になりますが、空気に触れさせることで軽減するので、抜栓後に少し時間を置いた方がより良い表情になります。とはいえ、翌日に持ち越すとやや枯れた風味の退廃感のある酸が前面に出るようになり、少しバランスが崩れる傾向にあったので、表情そのもののピークとしてはやや抜栓日寄りな印象でもあります。それでもコアにある果実の資質には可能性を感じるので、将来性(今後のヴィンテージ)という意味においては、かなり期待したいところではあります(もしどちらかのキュヴェを1本選ぶとしたら、こちらのアリストロメリアの方がお薦めしやすい)。
(2022/01)