- Good Quality -
ユーゴスラビアから移住してきた「ブラコヴィッチ・ファミリー」によって1944年に設立されたのがこの「クメウ・リヴァー」。ワインメーカーでもある長男のマイケルは、ニュージーランド初のMW(マスター・オブ・ワイン)としても有名です。
ハンティング・ヒルの畑で栽培されるピノ・ノワールの内、2013年からは最良の区画のみが実際に「ハンティング・ヒル」の名前でリリースされ、それ以外はすべて格下げされ「クメウ・ヴィレッジ」のピノ・ノワールに使用されています。
「10年の熟成を経たニュージーのピノ・ノワール」という珍しいアイテムですが、熟成感はそれほど明確ではないものの、各要素はかなり落ち着きなだらかに減衰している印象で、結果として素直に飲みやすいスタイルへと変化している印象でもあります。若かりし頃のメリハリのあるジャム的な資質を持つニューワールド系ピノ像を仄かに感じさせつつも、それでも純粋な果実味はかなり減衰し、結果としてやや退廃的な要素を持つ酸味がより前面に出ている状態にあります。コントラストは低めなので所謂ニューワールド的なピノとは異なりますが、それでも以前試飲した10年熟成のシューベルトのピノ(レビュー未掲載)とは異なり、各要素のエネルギー自体が控えめな反面、一体感や浸透感には分がある印象でもあるので、最終的には飲み手の好みによって評価が分かれるかもしれません。とは言え、同じクメウ・リヴァーのシャルドネと比較すると、相対的にはよりナチュラルワイン系寄りなスタンスを持っている印象でもあるので、このスタイルの違いは面白い発見と言えるかもしれません。
(2025/01)