- Good Quality -
マルサネという地で非常に高い評価を受ける造り手が「シルヴァン・パタイユ」。長年コンサルタントとして経験を積み、1999年に祖父から畑を受け継いで独立。2007年からビオロジック、さらに翌年にはビオディナミへと移行し、醸造に関しても2013年からは酸化防止剤を使用しない方向へとシフトしています(ボトリング時に少量のみ添加)。
マルサネの中で最も北にあるリュー・ディの一つがこの「クロ・デュ・ロワ」。畑は南と南東向きで標高は311m、土壌は泥灰土と砂利質、樹齢は20〜50年。ステンレスタンクで4週間発酵後、15%新樽、残りが1〜3年使用した樽で18ヶ月間熟成。
残念ながら抜栓直後から煮豆や仄かな硫黄、下水系のオフフレーバーが広がり、この還元臭が全体を支配していることでどうしてもネガティブな印象を受けてしまいます。臭いそのものはそこまで強くはないものの、それでも時間が経過しても減衰することなく居座り続けるので、最後まで心地良さが得られる状態にはなりませんでした(所謂ハズレボトル)。とは言え、表情や構成要素そのものは無理なく判別可能で、低重心でボリューム感のある充実したスタイルに仕上がっています。根本的に解像度は低めで、このクラスに見合うポテンシャルやクオリティを感じるような世界観ではないこともあり、コストパフォーマンスとしてはかなり分が悪い印象でもあります。それでも構成要素としてはブルゴーニュ・ルージュよりも上位に位置していることは伝わってくるので、過度の還元状態でなければそれなりに楽しむことは出来そうです。
(2025/07)