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ニュージーランド最南端のワイン産地「セントラル・オタゴ」を代表する生産者であり、かつ、ニュージーランドのトップ5に数えられる一流生産者でもあるのが「フェルトン・ロード」。
フェルトン・ロードを代表するスタンダードレンジのピノ・ノワールですが、シャルドネのバノックバーンと同様に、バノックバーン地区の3つの畑(エルムズ・ヴィンヤード、カルヴァート・ヴィンヤード、コーニッシュ・ポイント・ヴィンヤード)のブレンドで造られています(2012年は20%が全房発酵)。スタンダードレンジとは言え、その評価は非常に高く、3つの畑の個性が発揮されることによる多様性やバランス感など、ブレンドによって生じる利点によって、結果としてシングルヴィンヤードのピノ・ノワールに比肩するクオリティを発揮しています。
2009年のカルヴァートにも見られた熟度の高い果実味、特有の甘旨味も適度に感じられますが、それに加えて、2013年のコーニッシュ・ポイントのようなハーブ系の風味、硬質さ、タイトな軋みが同時に感じられ、果実だけで勝負するようなスタイルとは一味異なる世界観が広がります。抜栓当初は、相対的に少し陰な資質が強めな印象でしたが(各要素間の距離もややあり)、驚くことに、翌日に持ち越すことで果実味主体の明快な魅力を持ったスタイルに変貌します。アタックは果実系の口当たりの良さがメインとなり、そこから徐々にフィニッシュにかけてタイトに体躯を引き締める要素が支えてくれるので、決してダレることなく心地よく飲み進めることができます(ブルゴーニュが好きな人でも十分納得できる世界観)。
今からでも十分堪能できますが、思ったよりもポテンシャル系要素が強く、果実そのものが持つエネルギーも非常に豊富なので、理想としては今からさらに1年以上待ってから飲みたいところでもあります。
(2016/09)