- Good Quality -
山﨑ワイナリーのピノ・ノワールは「青ラベル」「深緑ラベル(以前の黒ラベル)」「プライベート・リザーブ」の3種類造られていますが、いずれも以前とは区画や醸造法に変化があり、今回試飲した深緑ラベルについては、主に砂岩土壌のピノ・ノワールを使用し、山﨑ワイナリーらしさを活かす方向で仕立てられているようです(2020年ヴィンテージ情報)。
青ラベルとは一転、ガラッとスタイルは変わり、深緑ラベルは従来の山﨑ワイナリーの赤ワインらしさが残るスタイルとなっています。冷涼産地らしいスッキリとした佇まいが基調となり、それなりに軋みは感じられるものの、全体像としてはラベルの色調に準じたような表情で、硬い鉛筆や針葉樹林のようなニュアンスを持つ硬質感が印象的です。従来よりもボディに充実感があり、果実そのものにもより焦点が合っている傾向にあるので、以前よりも内包する要素、そしてそのポテンシャルをしっかり感じることが出来ます。
抜栓当日は全体的にやや硬く閉じ気味な傾向にありますが、翌日に持ち越すことで表情は一定量解れ、その本質が徐々に露わになる傾向にあります。基本的には甘酸っぱいキュートさと健やかな硬質さ、そして程よい果実の充実感とボリューム感が適切なバランス感覚で広がります。多少青ラベルにも似た独特の熟成感も垣間見られるようになりますが、それでも基軸となっている硬質感にブレがないので、全体像が崩れることは特になさそうです。
青ラベルとは違い、従来のスタイルの延長線上に位置する世界観ではありますが、それでも軋みや硬さは以前よりも多少穏やかになっている印象で、反面、内包する各要素はより充実化している傾向にあるので、以前よりも分かりやすく小難しさは低減されているとも言えそうです。基本的には青ラベルの方が素直にお薦めしやすい印象ではありますが、いずれも明確に異なる個性を持っているのは確かなので、同時に比較試飲するのもかなり面白いと思います。
(2022/11)