- Recommended -
2025 Delaware
Kitani Wine
奈良初のワイナリーとして、「奈良の風土をワインという形に表現したい」という思いで立ち上げたのが「木谷一登」。奈良県生駒郡斑鳩町で100年以上の歴史を持つ「塚原ぶどう園」のデラウェアを使用し、天然酵母による発酵（樹脂製の卵形タンクを使用）、酸化防止剤なし、補糖なし（アルコール度数11.5％）で造られています。
透明感のあるクリーンな色調ではありますが、見るからに大量の固形の澱を内包し、底の方には淀みのあるゆらっとした濁り成分も浮遊していています。実際に試飲すると、僅かに発泡感の残る舌触りではありますが、自然派らしい見た目とは裏腹に、その表情は非常に整っていて心地よく、リンゴ酸のフレッシュさと乳酸のまろやかさのバランスが非常に良好な傾向にあります。桃のような果実感があり、思った以上に果実味的な甘さが印象に残りますが（純粋な味わいとしてはドライで香りが甘やかかつ酵母のニュアンスも強め）、翌日に持ち越し、ボトルの底の方に近づくと澱の成分由来の苦味が前に出て来るので、相対的にドライな表情がどんどん色濃くなっていきます。翌日に持ち越すと当初見られた発泡感は完全になくなり、収斂系の要素とMLF的な乳資質+果実感という対比の構図へと変遷していきますが、充実感はあってもあくまでもベースとなるのは日本ワインらしいたおやかなスタイルなので、2,000円台で購入できる日本の白ワインとしてはかなり可能性を感じる印象でもあります。やや指向性は異なるものの、山﨑ワイナリーのバッカスやピノ・ブラッシュなどとも相通じる「親しみやすさ」が魅力の一つでもあるので（ワインとしてのポテンシャルや可能性はこちらの方が上かも）、もし手軽に入手出来るようであればお薦めしやすい良質なデラだと言えそうです。
（2025/11）
Global Partners
URL : https://www.spreadwine.com/ ｜ E-Mail : Web Master