- Good Quality -

セパージュはピノ・グリ100%。樹齢は5〜12年。収穫時(2022年10月23〜29日)の糖度が25.8でそのまま野生酵母で発酵しアルコール度数が14%。亜硫酸塩を15ppmのみ添加し極粗濾過でボトリングしていますが、醸造工程で補糖、補酸、清澄剤はなし。単一品種となって3年目のヴィンテージとなりますが、収穫時期を限界まで遅らせることで過去最高の糖度となり、過去2年とは全く異なるスタイルへと変化しています。発酵と熟成はステンレスタンクを使用。2023年6月28日にボトリングを行い、生産本数は316本のみ。
ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)を使ってマセラシオンで仕上げるスタイルといえば、やはり北イタリアのフリウリを思い浮かべますが、ドメーヌ・テッタでもこの地の偉大な生産者への憧れと尊敬の念を抱いているようです。とはいえ、スタイルとしてはかなり異なり、あくまでも日本ワインらしいたおやかさとドメーヌ・テッタらしい良質なバランス感とパッケージングがベースになっています。
色調は非常に濃く、明確な濁りを伴う赤褐色で、これまでにみたことのないレベルの重厚さを感じます。実際収穫時の葡萄も非常に高く、アルコール度数も14%ありますが、それでも見た目の印象とは裏腹に、実際の味わいは妙にスッキリと纏まっており、思いのほかニュートラルでバランスが取れている印象です(相変わらず高アルコールとは思えない飲みやすさ)。ゲヴュルツやソーヴィニヨン・ブランと同様にドメーヌ・テッタらしい良好な造りで十分なクオリティではありますが、相対的にやや野生味があり、オレンジワインらしいタニックな要素も感じられるなど、内包する充実感は確かなものがありますが、それらを纏め上げる骨格的な要素や厳格さが控えめということもあってか、他のアイテムと比較するとややおとなしめな印象を受けます。単体で飲めば十分な満足感が得られますが、相対評価だと少し訴求力が控えめに感じるので、その点のみ要注意と言えそうです(もしかするとボトル差の可能性もあり)。
(2025/12)